貧乏国ニッポン(加谷珪一著)

「貧乏国ニッポン」ますます転落する国でどう生きるか」 (幻冬新書 2020年6月20日 第三刷発行)
5月30日の第一刷発行から1ヶ月も経過していないのに既に第三刷となっている。売れている本だろう。

この本、新聞の広告を見て購入してみた。楽天カードのポイントがあったのでこれを使う。Rakutenブックス、注文して二日後に手元に届いた。

日本経済の凋落を諸外国との所得・GDP・年金・社会制度などと比較して書いている。
米国では年収1400万円は「貧困」に分類されるとのこと、日本では立派な高給取りになるが、彼我の差に驚く。

日経新聞を購読している当方としては、各種の経済指標から日本が衰退していることは既知だったが、コンパクトに1冊にまとまっており一気に読める。日本の状態が理解できる本となっている。中国と日本の10年や20年後の経済の指標となる研究論文数や米国への留学者数、桁が違う。数の強さ、その差は開く一方、逆立ちしても絶対、中国には追いつけない。

例の黒人の首を絞めつけた警察官の年金が540万円記事を掲載したが、何のことはない。貧困所得(年収1400万円)の半分以下だから、米国では当然の年金額だろう。一方、田村氏によれば、日本の年金額(男性の基礎と厚生年金の合計)は、200~240万円が73%を占める。日本人の7割以上は、米国警察官の半額以下の年金額となっている。これじゃ、年金生活が苦しいのは当然だ!

何故、こんな状態なのだろう。国民の生活を保障するのは、国家である。政府は民の生活を保障しているか??ボーナス満額受給、年間所得約4000万円の国会議員に市井の痛みは届いているか??

以下の情報によれば、日本の10人中9人は年収800万円以下となる。

日本人の10人に1人が年収800万円以上! 高所得者の知られざる趣味とお金事情

ロボアドのウェルナビスの社長が妻(米国人)の両親と自分の両親の老後資金について、その差額から投資信託を勧めている。収入が違うから当然と言えば当然の金額差となる訳だ。投資信託しなくても、日米の差額は当然発生する。この数字をうまくCMベースに宣伝している。時代劇風に、お主も悪よのう、こんな感じかな??

米国は所得に連動して日本より物価が2倍3倍も高いだろうか。ガソリンや携帯通信費を比較すれば、逆に日本より安い。

読了の感想、そもそも日本は貧乏の時代が長く、日本が経済大国だった時代はほんの数十年間だった。ベースは日本国は貧乏、このことを再認識した。

100年前の明治時代以降、日本人は世界各国へ移民・移住していた。
理由は単純明快、国内では生活できず、夢見て海外へ行った。アメリカ・ブラジル・アルゼンチン・エクアドルなど、満州へ行った例もあった。
高齢者は「姥捨て山」へ、子供は「人身売買」、赤ん坊は「口減らしで辛うじて生活を維持していた。これがほんの100年前の日本の姿である。NHKの朝ドラマ「おしん」を想像すると、もともと長く貧乏で貧困な国家だった。

日本にとって最強の経済対策とは」 p.199~

年金制度の将来像について政府は明確な道筋を示す必要がありますし、これこそが最大の経済政策でもあるのです。

そのとおり、年金の財政検証の発表が過去と比較して遅かったり、ワーキンググループの「老後資金2000万円不足」レポートを受け取らなかったり、政府は年金制度について「逃げの一手」。現政権だけでなく国会は年金問題に蓋をしている。

一番興味を持った「ますます転落する国でどう生きるか」の本のタイトル内容であるが、これに関してはほとんど記述なし。当方は、この文言でこの本を購入したが、騙された!!下記の通りおまけ程度、いやそれ以下の記述となっている。

「おわりに」で述べているにすぎない。(p.203~

初心者ほど海外株に投資すべき」、
ちょっと待ってよ、低所得で日々の生活にあくせくしている日本人が投資するだけの余力があるの??途上国レベルの所得・社会保障、これで投資ができるの?? 矛盾満載の内容となっている。

当方なりの考えは、

1、上記のとおり、日本はもともと貧しく・貧乏な国だった。この原点に戻れば、「発展途上国的な収入・年金」を認めることができる。中国・台湾・韓国・タイ・シンガポールなどの東南アジア諸国のインバウンドによる観光資源を活用する。製造も消費も先細りするので残るは日本の自然しかないだろう。

2、食料問題、米が無いときは大根をかじる。飽食から開放され生活習慣病の患者も減少するかも。

3、住宅問題、高機能住宅でなくても温暖化が進んでいるので雨風が防げる掘っ立て小屋でも暮らせる。大地震の発生を考慮すると、スクラップ&ビルドが簡単な質素な建物で暮らせばよい。大地震が発生すれば、建物内の各種給湯・給水・下水関連のパイプはガタガタとなり飲料水やトイレも使えなくなる。高層マンションなど不要、貧弱な住宅環境でも命は保てる。(貧弱と言っても最低レベルの電気・上下水道の生活インフラの完備があれば暮らせる。田舎だとその辺の田畑に穴を掘って処理をすれば下水道は不要。そうです、過去は人糞を作物の肥料にしていた、これを思い起こそう)

4、インターネット・携帯・マイナンバーも必須ではない。そうすれば、老後に「2000万円」は不要・資産運用も意味なし。年金が減額されても十二分に生きていけるだろう。

この40年間を忘れ生活レベルを下げた生活を送る。東南アジアイN0.1の貧乏国を認めダウンサイジングに徹するべし。

加谷氏、投資で数億円の資産をお持ちとのこと、こんな方の指南書本となっている。市井には程遠いプラン本である。

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