老前破産(荻原博子著)

老後破産ならぬ、「老破産」である。荻原博子著「破産 年金支給70歳代のお金サバイバル」朝日新聞出版 2018/1/30 第1刷発行

40から50代を対象とした本であるが、定年退職した年代も参考になった。
参考になったヶ所

1、家庭調査で老人無職世帯の収入と支出 p.85
2、フルで働くのではなく、生活費をセーブしながら生き甲斐が持てる程度にちょっと働くというつもりなら、セカンドライフも楽しめるのでは? p.179
3、定年後は、今までのように一生懸命働かなくてもいい代わりに、本当にいい人生だったなとしみじみ思えるだけの時間が与えられます。p.199

また、「持ち家か賃貸か」には、データを示して総支出額は100万円も差がないことを示し、双方にメリット・デメリットがあると述べている。「隣人リスク」を考えると、ヤドカリ生活が気楽か?? p.41

荻原氏の著書は何冊か持っているのでこの本は図書館を利用する。

記述不足の部分もある。p.85であるが、「家庭調査(2016年)を見ると、夫65歳以上、妻60歳以上の平均的な無職夫婦のみ世帯の実収入(年金を含む)は、21万3000円。一方、生活費は、消費支出、非消費支出を合わせると27万円なので、その差は約5万5000円。

実収入とは税金などの社会費用を引かれた、所謂、手取り額か?p.86のグラフから推測するに手取り前の、額面の数字だろう。
また、支出の非消費支出が、税金等に該当するだろうが、これらの点については、記述無し。これらの説明は1~2行で済む。この記述があれば、クリヤーになるのだが…、残念な点である。

同時に、「年金はいつからもらうのがお得?」 p.202~203
繰上げ支給で「年金を通常よりも1.42倍もらえるようにしておくと…」、でも、収入額が多くなった分だけ、社会保障料も増え、手取りは、42%も増えないが、誤解を招きかねない記述だ。更に、医療費が下手すると2割負担になる可能性もある。デメリットも同時併記しないとダメだな。42%増額のチョットした淡い夢を見るようだ。

この点、山崎元氏は「この例では税金や社会保険料を考慮していませんが、実際にはこうした費用が発生するので、手取り額ベースで年金受取額がぴったり42%増える訳ではないことに注意して下さい。時々の税金や社会保険料に注意が必要です。」と明記している。「お金で損しないシンプルな事実」朝日新聞出版 2018/3/30 第1刷発行 p.85

以前ブログに記載した、松崎のり子氏「定年後でもちゃっかり増えるお金術」(講談社 2018/5/16 第1刷発行)の本が、遥かに正確な情報を記載している。「年金モデル約22万円から税金・国民健康保険料・介護保険料や社会保険料が引かれる。月20万円程年の年金を受け取っている高齢者夫婦世帯では、だいたい月3万円の負担。受け取れる年金が多いほど、この負担額も増えていきます。年金だけで暮らそうと考えても、この目減り分を稼げないと赤字になるといこうことになってしまうのです。p.152-154

で、良くわからないのが、p.88の部分。
ネットを使えないという人は、そもそも投資には向いていません。なぜなら、みんなネットを使ってりリアルタイムで戦っているのですから。

みんなネットを使って~」のくだりである。ネット証券の取扱高と対面販売の取扱い高の数字でもあれば、納得できるが、これらのデータ表示は無し。個人の投資額の大半は高齢者である。高齢者の皆さんがスマホやPCで売買しているとは到底思えない。

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