老後破産した場合、アメリカは暮らし易いか否か(セフティーネット比較)

老後破産した場合、アメリカは暮らし易いか否か(セフティーネット比較)

堤未果(株)貧困大国アメリカ」岩波書店 2013/6/27 第1刷発行

本の題名と赤いカバーに魅かれて読んでみた。

冒頭のプロローグでいきなり、SNAP(旧フードスタンプ)について詳細に記述している。アメリカの貧困率と失業者の数は、リーマンショック以来増え続け、SNAP受給者は年々増加、約466万人(2012/8/31 USADA発表)結果、1970年は国民の50人に1人が7人に1人となっている。ワーキングプア人口は、1億5千万人(国民の2人に1人)
オバマ氏は「フードスタンプ大統領」と呼ばれたり、オバマ政権になって、新雇用が増える10倍のスピードでSNPA受給者が増えている。

不法移民に対してもSNPAを受給させ、不法移民にアメリカの市民権得やすいよう規制緩和を実施した。NAFTA・TPPにも否定的でこれらが貧困アメリカを増長すると述べている。

堤未果氏の指摘、ここまで読んで、アレアレ、トランプ大統領が選出された理由の一旦を見たような気がした。この本が出版されたのは2013年だから、オバマ大統領の二期目だった。堤氏の洞察力に驚いた。

現在、トランプ氏は前大統領オバマ氏の政策を全否定しメキシコ国境に壁を作ったり、移民策を180度変更している。

残念なことに、この本、アメリカ政府の農業政策・自治体の経済状況・公教育への予算削減などが中心で、個人的な貧困家庭・ワーキングプアの記述はプロローグ以外にはほとんどなし。
又、p.198において、オバマケア(Affordable Care Act)が低所得層が頼りにしている社会保障を悪化させると述べている。

個人が貧困・破産になった時の具体的な救済方法は、下記の本が参考になる。

矢部 武日本より幸せなアメリカの下流老人」朝日新聞出版 2016/9/30 第1刷発行

スラム街の風景からUSAは、高齢者に限らず貧困家庭が多く、その生活は「ひどい」と思っていたが、この本を読んで驚いた。米国には国民皆保険公的介護保険がなく、中産階級は、高額の医療費や介護費を請求されて資産を使い果たす、という危険性を持っているが、下流に転落した場合は最低限の支援を受けられる体制が整っている。日本と比較して、かなりのセフティーネットがある、とのこと。

p.176)  具体の支援・補助・ほう助は
メディケイド:医療や介護をほぼ無料で受けられる公的医療補助
家賃補助SNAP(フードスタンプ)・SSI(補足的保障所得)最低限の生活費を保障

これらのセフティーネットの受給は簡単な手続きで済むとのことで、老後破産すればこれらが受給でき、「年金が少なく生活ができない」との心配は少ないらしい。全く持って、羨ましい。日本国憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあるが、USAと比較すると絵に書いた餅状態。年金が少なく生活苦から、新幹線で焼身自殺したり、制度的には生活保護もあるが、簡単に受給できる制度ではない。相当数の高齢者が生活保護費以下の金額で生活している現実がある。

また、我が国の「老後破産の元凶は『住宅』にある」とのこと。「低家賃の公共賃貸住宅がないに等しい」p.187
確かに、国民年金の満額で月額6万5千円、民間のアパートでは、大部分が家賃で消える。年金暮らしの費用、持家と賃貸では相当違ってくる。

さて、日本は、国民皆保険・介護保険が充実しており、高額医療費保障もあり、入院しても財産が散財する心配はない。その点、米国の中産階級の人は住み辛い様だが、高額医療費・自分で払う介護費用で老後破産した場合、USA・Japanどちらが住み易いか?

堤未果氏は貧困の増加、矢部武氏は貧困者への手厚い保護策に焦点を当てている。この2冊によれば、USAとなろう。また、セフティーネットがあることを知っておれば、将来の年金の減額等を心配せず、ノンビリ生活が出来そう。

しかし、「ワーキングプア人口は、1億5千万人(国民の2人に1人)」とは、米国の将来は GAFA頼みか?

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