保有株のヘッジとして使うのはアリか

 中には、日経ダブルインバース上場投信を、純粋な日経平均株価値下がりを狙っての買いというよりは、保有株のヘッジの意味合いで買っている方もいるでしょう。

 しかし、筆者は個人的にはあまりお勧めはしません。なぜなら、保有する個別株と日経平均株価が異なる動きをすることが多々あるからです。

 よくあるのが、保有する個別株はそれほど上昇していない一方、日経平均株価が大きく上昇しているため、日経ダブルインバース上場投信は大きな値下がりとなり、トータルでみてマイナスになってしまっているというケースです。

 時には、保有株は値下がり、日経平均株価は値上がりという「股裂き状態」に陥ってしまうこともあります。

 また、日経ダブルインバース上場投信は、以前のコラムでご説明した「先物型ETF」に該当します。そのため、長期間保有を続けると減価していきます。現に、日経平均株価は今年の高値にまだ到達していないにもかかわらず、日経ダブルインバース上場投信はすでに年初来安値を更新してしまっているのです。

参考:先物型ETFの説明(日本取引所グループHP)

 したがって、筆者は保有株のヘッジに日経ダブルインバース上場投信を使うよりは、保有株そのものが下降トレンドになったら売却する、という方が確実だと思います。その上で、日本株の突然の急落に備えて必要であればプットオプションを買っておけばよいでしょう。

 2・3月のコロナ・ショックの急落時は「さすがに売られすぎ」「そろそろ下げ止まる」として株価の動きに逆らって買い向かった投資家が撃沈しました。

 そして今、「さすがに上がり過ぎ」「そろそろ下がるはず」として株価の動きに逆らって空売りしたり、日経ダブルインバース上場投信を買った投資家が苦しんでいます。

 これらは全て株価のトレンドに逆らった投資行動をしたことによって引き起こされています。

 将来を予想して決めつけるのではなく、株価のトレンドに沿って自然体で動くだけで、大失敗を防ぐことができます。コロナ・ショックの急落やその後の急騰に適切な対処ができなかった…という方は、ぜひ今後試してみてはいかがでしょうか。